Harmas Jean-Henri Fabre

J.-H. ファーブルのアルマス

セリニャン=デュ=コンタ市とモン・ヴァントゥの麓のオランジュ街道 に建つジャン=アンリ・ファーブルのアルマス。19世紀から存在する領 地の中心で、個性的な見学を体験いただけます。地中海の植物に覆 われた邸宅では、それまで誰一人実行することのなかった手法で、自 然主義の天才が自然を観察しました。

青空研究室

名高い家屋 

未開の地をプロヴァンス語でアルマスと言います。アヴィニョンから数キロメートルに位置する未開の地に、ジャン=アンリ・ファーブルは55歳の時、家族とともに移り住むことにしました。植物群落に占 拠されたこの地を青空研究室にしようと
考えたのです。すべてがこの計画に貢献します。仕事部屋を設けるために建設さ
れ、生活空間から切り離された家屋の左 翼や観賞用の庭だけでなく、一部は植物
相が自由に育ち(小灌木と灌木から成る品質保証されたアルマス)、昆虫がひしめ
く土地で、科学者の彼は休む間もなく研 究を重ねます。 
ピンクのファサードとグリーンの雨戸を 湛えた民家と植物の宝庫の庭では今も
なお、その魅力が衰えることはありませ ん。 
国立自然史博物館では、当然の如く「メゾン・デ・イリュストル」ラベルに認定された比類なきこの敷地を注意深く見守っています。

見学コース

ジャン=アンリ・ファーブル生誕200周年記念の2023年に、国立自然史博物館はアルマスの改修工事に着手しました。ポイントは、歴史を物語る3つの部屋とコレクションの価値を高め、現代的な空間2室を改修し、新たに1室設けることで、この自然主義学者に関する知識を深めること。全体的に再検討された見学コースは、親密性と現代性が調和したもの。オリジナルのオーディオガイドを含むマルチメディアを駆使したシステムです。  家屋や庭園を通して、和気あいあいとした雰囲気の中、子どもだけでなく大人にも感性豊かな体験や科学的アプローチの基礎を提案します。

Le jardin d'agrément de l'Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

Le jardin d'agrément de l'Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

Le jardin d'agrément de l'Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

自然主義学者の 軌跡をたどる

食堂

天井や、モミの木の節が浮かび上がった「蝶の床」、フラワーモチーフのカーテンや壁紙まで、ここではすべてがこの土地の精神に忠実です。家具のひとつひとつも当時のまま。食卓、ガラス張りの本棚、ジャン=アンリ・ファーブルが自作の詩に曲をつけるために使用したリードオルガン、ボードゲーム用のテーブルなど、家庭的なインテリアが自然主義学者のプライベートへ没入するのに役立ちます。

仕事部屋 

ミニチュアの自然史博物館の如く、研究と調査に捧げられた空間です。部屋の中央には威厳ある テーブル。そこは顕微鏡や秤など、道具一式で埋め尽くされています。大きなガラスケースには約1 300のオブジェや標本のコレクションを収納。  奥の小テーブルに置かれているのは、科学者自身が大部分を執筆した主要著書、『ファーブル昆虫記』です。全10巻、計4 000ページの大作は14の言語に翻訳されています。

生涯の作品 

現代的な展示装飾が施された2つの部屋は全面的に改装され、新たに設けられた一室でこのタイムト リップが完了します。ここでは植物標本の原版とアクリル画が、ジャン =アンリ・ファーブルの芸術的な感性を物語っています。その先ではコレクションの作品と横長の年表を通して、時代背景が解説されています。最後に映写室では、1912年に息子のポール=アンリとともに撮影した『セミの変態』が上映されています。比類なき研究者であるファーブルが残した文化遺産に関して、科学者らの証言も収録されています。

Dans le Cabinet de travail de L'Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

La salle à manger de l'Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

La salle à manger de l'Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

Salle Herbier et aquarelles de l'Harmas Jean-Henri Fabre

© MNHN - A. Iatzoura

庭園側 

観賞用の庭園と生物の多様性を調和させる術を身につけていた ジャン=アンリ・ファーブル。自分で執筆した文章に従い数多くの植物を選別し、花壇に彩りを添えていました。噴水や泉水はテラスと同様、今までにない魅力の庭園で長居したくなる要素。その中で国立自然史博物館は地域色を維持するよう努めています。本来の意味での「アルマス」は、かつて石灰質の荒れ地へと続いた土地の一部。そこでは昆虫学者にとってこの上なく貴重な昆虫が好む植物種を、今も特別に優遇しています。

野外観測所

ジャン=アンリ・ファーブルが発明した独創的な4つの複製システムは、ぜひ立ち寄って見るべきもの。猛獣の檻では、ラングドックに生息するサソリの食生活と繁殖を研究することができます。腐敗所はネクラファジー(屍肉食い)昆虫の破壊を観察するのに役立ちます。ミノタウロスセンチコガネの観察所では、この黒いスカラベの地中生活を調査することが可能です。メイソンミツバチの巣に関しては、野性のこのミツバチの産卵を理解するのに貢献します。

歴史を少々

Jean-Henri Fabre

© Archives iconographiques - Palais du Roure, Avigon

1823年に旧ルエルグ州の貧しい家庭に生まれたジャン=アンリ・ファーブルは、まず教職を志します。  彼は30年以上にわたりカルパントラ、アヴィニョン、コルシカ島、オランジュで教鞭をとります。完全な独学で数学、物理、自然科学と3種類の学士号を取得するため、そして動物学、植物学と2種類の博士論文を完成させるため、勉学に励みます。1879年にはアルマスへ移り住み、そこが彼にとって最後の邸宅となります。1915年に亡くなるまで、植物相と無数の昆虫の生態を休む間もなく研究し続けます。集中的な研究と豊かな知的生産に費やした月日は36年。チャールズ・ダーウィンが「比類なき観察者」と呼ぶジャン=アンリ・ファーブルは、動物行動学の先駆者のひとりと見なされています。彼のエネルギー、独立精神、教育術、芸術的な感性、執筆の才能が認められるのは晩年ですが、その時代の著名人からの称賛や威光は今日まで続いています。  

アルマスのお役立ち情報

445 route d’Orange – 84830 Sérignan-du-Comtat – 開館時間:9月1日~3月31日:日曜・月曜を除く毎日10時~12時30分、13時30分~17時。4月1日~6月30日:日曜・月曜を除く毎日10時~18時30分。7月1日~8月31日: 日曜を除く毎日10時~19時。祝日の開館日:5月8日、ペンテコステ(聖霊降臨祭)の月曜、昇天祭の木曜。夏季の木曜に夜間営業(計6回): 7月20日~8月24日:19時~21時。電話:+ 33 (0) 4 90 30 57 62